初の乃木坂握手会

日曜は乃木坂の握手会だった。

隠れ乃木ヲタ歴は約二年程になるが、握手会に行くのは実は初めてなのだ。

握手会場に初めて足を踏み入れた時の、「本当にこの空間に、今乃木坂がいるんだ。ななみんやかずみんと同じ空気を吸っているんだ」という胸の高まりは、長らく自分の人生で味わっていない類いのものだった。

危うく柄にもなくスキップする所だった。

客の層としてはやはり男が圧倒的に多い。

年齢層はバラバラ。

女子もいた。ぱっと見、全体の1/5くらいだっただろうか。

実は、長らく隠れ乃木ヲタだった俺が今回重い腰を上げてノコノコと握手会にやってきた本当の理由は、乃木坂の握手会にはおしゃれで綺麗な女子がゴロゴロいる、という噂を聞いたからなのだ。

確かに乃木坂には、白石麻衣西野七瀬など、女性ファッション誌の専属モデルを務めているメンバーも少なくない。

最初は乃木坂に興味がなかったが、そういったファッション誌を通して乃木坂の存在を知り、握手会にまでくるようになった女子も多いらしい。

だから一応辻褄としてはバッチリ合うのだ。

俺が実際自分の目で確認してみた感想としては、みんないたって普通の女の子だった。

もちろん、かわいい子もいる。

ただそれは日常的に駅などでかわいい女の子とすれ違うのと感覚的に変わらない、というレベルの話だ。

当たり前だ。彼女達はアイドルではないのだから。

俺が勝手にネットの噂を都合よく解釈しただけだ。

ただ、俺が行ったのは五部あるうちの一番最後の部だったので、もっと早い時間の部も見てみない事には、断定的な事は言えない。



まぁ会場にいる女の子がどうでも、やはり握手会は大好きな乃木坂のメンバーと直に交流できる貴重な場なのだ。当たり前だが、本来そのための場なのだ。

俺が今回握手したのは伊藤かりんという二期生の子だ。

チケットはたった一枚だったが、そしてその日の握手会の最終盤だったが、かりんちゃんは最高の笑顔と元気で握手してくれた。

もともとこの子だって、二期生オーディションに受かるまでは毎回乃木坂の握手会に通う程の乃木ヲタだったのだ。

もしかしたら、握手してもらう側の気持ちを一番理解しているメンバーかもしれない。

本当に久しぶりに、卑猥な意味じゃない元気になった。

乃木坂のファンになる前は、アイドルの握手会なんて行くヤツの気がしれなかったが、こうして乃木坂のファンとして来てみたら、やはり握手会というのはかけがえのない楽しみなのだ。

これがあるから乃木のファンはやめられないという人もたくさんいるだろう。 

俺は風俗嬢に一発抜いてもらったのとは全く別の次元の清々しさを胸に、会場を後にした。